用語の解説(用語集)


がんの罹患数・罹患率(cancer incidence, incidence rate)

がんの罹患数とは、ある年、一年間に、対象とする集団(大阪府がん登録では、大阪府在住者)において、新たに診断されたがんの数のことをいう。多重がんは、別々に集計される。罹患率は、罹患数を分子とし、対象とする集団の人口 を分母として割り、それに10万をかけて人口10万人あたりの罹患数とする。

がんの罹患数・罹患率

がんの罹患数・罹患率は地域がん登録により把握される。

がんの死亡数・死亡率(cancer mortality, mortality rate)

がんの死亡数とは、ある年、一年間にがんが原因で死亡した方の人数をいう。人口動態統計により把握ができる。死亡数の年次推移をみることで、そのがんで死亡した方の人数自体が増えているか減っているかを知ることができる。死亡率は死亡数を分子とし、対象とする集団の人口を分母として割り、それに10万をかけた人口10万人あたりの死亡数を示す。

がんの死亡数・死亡率

罹患率と死亡率をみる理由の詳細は、以下のページを参照

年齢調整罹患率・死亡率(age-standardised incidence rate, mortality rate)

がんの罹患率や死亡率は年齢により異なるため、年齢構成の違う集団間を比較する際に、年齢構成をそろえる必要がある。年次推移を見る際には、高齢化の影響を除去するために必要である。通常、1985年の人口における年齢構成(1985年日本人モデル人口という)を用いて、他の年次の罹患率・死亡率を調整する。直接法と呼ばれる。
年齢調整の詳細は、以下のページを参照

標準化罹患比(Standardised Incidence Rate: SIR)・標準化死亡比(Standardised Mortality Rate: SMR)

本サイト(統計でみる大阪府のがん)では、各市町村間、二次医療圏間の罹患と死亡を比較するにあたり、年齢分布の違いを考慮し、標準化罹患比(SIR)、標準化死亡比(SMR)を用いている。大阪府全体を基準(標準人口)とし、大阪府全体における年齢階級別罹患率・死亡率をもとに、各対象集団(市町村・二次医療圏)の期待死亡数を算出し、実測死亡数の比を取る。

標準化罹患比=実測罹患数/期待罹患数
標準化死亡比=実測死亡数/期待死亡数

標準集団の大阪府とほとんど同じであれば、1となり、1を超えていれば、大阪府と比べて死亡や罹患が多いことになる。1を下回っていれば、大阪府平均よりも低いといえる。間接法による年齢調整とも呼ばれる。
年齢調整の詳細は、以下のページを参照

累積罹患率(cumulative incidence rate)

0歳から74歳までに、がんに罹患する確率の近似値である。0-74歳累積罹患率がよく用いられ、0歳から74歳までの年齢階級別罹患率に、その年齢階級に含まれる年数(通常は5歳階級)をかけあわせたもの。通常、人口千人で示される。

多重がん(multiple primary cancer)

がんの再発・転移・浸潤ではない、新たな独立したがんが、同時性あるいは異時性に発生したもの。例えば、がんの原因となった生活習慣(たとえば喫煙など)が、別の部位のがん発生にも影響する場合(たとえば、喉頭がん治療後の肺がん)。がんの放射線治療、化学療法などが起因となって別のがんが発生する場合(たとえば、化学療法後の骨髄性白血病)。

がん患者の進行度・早期割合

大阪府がん登録では、がんと診断された時点における病巣の拡がりを、上皮内がん(がんが表層にとどまり、他臓器へ浸潤・転移する可能性のないもの)、限局(がんが原発臓器に限局しているもの)、所属リンパ節転移(原発臓器の所属リンパ節への転移を伴うが、隣接臓器への浸潤がないもの)、隣接臓器浸潤(隣接する臓器に直接浸潤しているが、遠隔転移がないもの)、遠隔転移(遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤があるもの)に分類している。所属リンパ節転移と隣接臓器浸潤とをあわせて、限局、領域浸潤、遠隔転移の3群で比較する場合もある。
早期割合は診断されたときにがんが上皮内・限局にとどまっている患者の割合を示し、早期診断の普及度を知るために重要な指標となる。

がん患者の生存率(cancer survival)

がんと診断されてから、一定期間(通常は5、10年)後に生存している患者の割合。がんの医療を評価する重要な指標である。すべての死因による死亡をエンドポイントとしたものを実測生存率といい、がんによる死亡をエンドポイントとしたものを補正生存率(Cause-specific Survival)という。また、がん以外の死亡による影響を除去したものを相対生存率という(詳細は下記)。信頼の高い生存率を計測するためには、患者の生死を把握する生存確認調査(予後調査)の実施が必要である。

相対生存率(relative survival)

がん患者が、がん以外の疾患で死亡する確率は、性や年齢、時代により大きく異なる。性、年齢分布、診断年が異なる集団において、がん患者の予後を比較するために、地域がん登録では、相対生存率を用いている。これは、がん患者について計測した生存率(実測生存率)を、対象者と同じ性・年齢分布をもつ日本人の期待生存確率で割ったものである。

相対生存率=実測生存率/期待生存率

がん登録(cancer registry)

がん患者を対象に、診療情報およびその他の情報源から、予め定めた項目について、情報を収集、整理、蓄積し、同一人物・同一腫瘍の判断をおこない、1腫瘍として登録する。それを集計、解析することにより、がん医療、がん予防、がん対策を支援、把握、評価する資料とされる。「がん登録等の推進に関する法律」において「がん登録」とは、全国がん登録および院内がん登録をいう。

全国がん登録(population-based cancer registry)

全都道府県で発生した全がん患者を対象とするがん登録をいう。特定の対象地域における各種がんの実態把握(罹患数・率、受療状況、生存率)を第1の目的とし、対がん活動の一環として、従来から各都道府県が主体となりがん登録は実施されてきた(地域がん登録、大阪府では1962年から全国がん登録に移行する前の2015年まで実施)が、都道府県を超えての登録もれや、重複なく集計することは困難であった。
2013年に「がん登録等の推進に関する法律」が成立し、2016年1月1日に施行され、この日以降はすべての病院および指定された診療所に対し、がん情報の届出が義務付けられた。現在は国が実施主体となり、全都道府県を網羅した全がん患者を対象とする全国がん登録が実施されている。

院内がん登録(hospital-based cancer registry)

当該施設で診断・治療を受けた全がん患者を対象とするがん登録をいう。当該施設における医療の質の把握および向上を目的とする。

臓器がん登録

各がんの専門学会・研究会等が中心となって、臓器別に全国規模で実施されているがん登録をいう。登録への参加は、大学関係と主要施設に限られる。がんの臨床病理学的特徴と進行度の正確な把握に基づく適切な治療指針の確立、進行度分類のあり方などを検討するために実施される。