がん・循環器診療支援のための糖尿病外来のご案内

当院の特徴としてあげられる糖尿病診療支援システムのご紹介

 糖尿病だけを目的とした診療は他院にも優秀な医師がおられますので、お任せしています。ではなぜ当院に糖尿病診療部門があるかと言いますと、がんや循環器の病気があって、当院での治療を必要とされる患者さんに合併した糖尿病を積極的に良くしていくためです。そのため、できるだけ糖尿病に関しては外来通院だけでよい状態にコントロールし、自分の力で意欲的に良くなっていただくことを目標として、いろいろな療養支援の工夫をしています。ここでは当院でオリジナルに実施している糖尿病教室の方式をご紹介します。

糖尿病教室(基礎編)

 初診の患者さんや過去に他院で糖尿病を治療されていたけれどもコントロールが良くない患者さんに対して、もう一度糖尿病の基礎的な知識を整理していただくための教室です。月に1回水曜日の午後に実施しています。

  • 初期の知識提供(希望により複数回受講も可)
  • 医師の講義(1時間)
  • 管理栄養士の食事指導(40分)
  • 臨床検査技師などの血糖・尿糖測定手技(20分)
  • チーム看護師による運動指導、フットケア、シックデイのミニ講義(20分)

糖尿病教室(実践編)

 糖尿病教室基礎編でしっかり勉強したあとは、
院内で2ヵ月に一回、最終木曜の午前10時から実施している糖尿病教室実践編に自発的に参加していただきます。当院では管理栄養士の指導監督のもと、東テスティパルという調理専門家の集団が院内の給食作成の実務に当たっています。レベルの高い栄養士・調理師の努力でこの実践編が実現しました。医師が指示した所要カロリーから管理栄養士が昼食のカロリー量を算出し、当日の参加者全員の一人一人に見合ったオーダーメイドのお弁当を準備します。毎回メニューだけでなく味付けや風合いの工夫をし、実際に自宅でも実践できることを覚えていただくのが目的です。また3時間ほどの教室の時間を利用して、基礎編では得られない、より進んだ知識もご提供します。当日は以下のようなスケジュールで実施しています。 

  • 食前の血糖測定
  • 管理栄養士による食事療法の講義
  • 個別カロリーに調整したお弁当配布
  • 本日のメニューの解説、食材選び・味付け・メニューの工夫(東テスティバル栄養士と調理主任担当)
  • 食事体験

     毎回テーマを変え、医師(内科、眼科)以外にも糖尿病療養指導士を含む、チーム看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などにより、それぞれの持ち場を生かした糖尿病療養に対するアドバイス。もちろん運動療法のことや合併症のことも登場します。

  • 食後血糖測定

     解散前に今召し上がった食事の結果、どのくらい血糖が上昇したかを実体験してお帰りいただきます。明日からの療養により積極的になっていただくのが目的です。

なぜ「閉じた輪のシステム」と呼ぶか

 私達は外来で実施している療養指導全般を閉じた輪のシステムと呼んでいます。
自分が今どういう位置付けにあるか、なぜ今その療養を受けないといけないか、がわかる。自分が主体となって、自分のペースで受けたい時に受けたい内容の指導を選んで受けていくことができる。医療者からみると、患者が各医療者の間をうまく自分で回って行くイメージ。患者とも情報を共有できる。
自分の病気のことを自分がよく考え、自分が中心になってそれを良くするために頑張っていただくためには、医療者からの押し付けで療養を継続すべきではありません。私達はプロの医療者として、なぜ糖尿病が悪化すると良くないのかを知っています。しかし血糖が高いことだけを問題にした治療は患者さんの将来にわたる人生にすべてプラスとは言えません。自分の頭で、なぜそうなのかがわかるまで、サポートするのが私達の目標です。そのためには医療者は患者さんが中心となって巡っていく「閉じた輪」を形作るメンバーであり、主役は患者さんご自身であることをご理解いただきたいためにこのような概念を作りました。

「閉じた輪」のシステムが目指すもの

 ゴール=充実した人生
患者と医療者間での価値観の共有ができれば、目指す目標点が近くなります 

  • 診療・療養間のフィードバック
  • 糖尿病療養指導士の活動
  • 療養意欲の向上と自己管理の向上
  • 合併症の予防・減少
  • 自己評価できるQOLの向上
  • 教育入院・治療入院の必要性の低下

私達成人病センターのスタッフは糖尿病の療養について、このような理念に基づいて日頃の診療を実施しています。皆様のご理解をお願いし、より充実した生活を得ていくためにご活用ください。

※作成:特別研究員 中島 弘(前臨床検査科主任部長)