第64回 がんを予防するための食生活 〜野菜を効率よく摂取する〜

 がんを予防するといっても、そのための食品が特にあるわけではありません。がんを予防するのに最も効果的なのは、野菜や果物を過不足なく摂り、塩分控えめなバランスのよい食生活を続けることです。このような食生活を送ることで免疫力が高まり、自然と病気にかかりにくい体を作っていきます。
私たちの体には多種類の栄養素を効率よく利用する仕組みが備わっています。例えば、ビタミンやミネラルには様々な働きがあります。そこで今回は、からだの機能調節や維持に欠かすことのできないビタミンやミネラルを豊富に含んでいる“野菜”に着目しました。

  • ・にんじんごはん
  • ・鶏肉とごぼうの甘辛焼き
  • ・チンゲン菜のグラタン風クリーム煮
  • ・柿とブロッコリーのごまだれ和え
  • ・かんぴょうとれんこんの酢漬け
  • ・抹茶のシフォンケーキ
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【ミニ雑学】

◆ビタミンA
・働き・・・口腔、肺、消化器官などの粘膜や皮膚を正常に保ちます。
・多く含む食品・・・動物性食品ではレバーやうなぎ、穴子などの魚介類に多く含まれます。植物性食品では青菜やにんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれます。
・食べ方・・・ビタミンAは、動物性食品には主にレチノールとして含まれ、植物性食品にはカロテン類として含まれます。レチノールは体内で効率よく利用されやすいですが、カロテン類は体内で吸収されにくいという特徴があります。ビタミンAは脂溶性のビタミンなのでカロテン類は油に溶けると吸収率がよくなります。炒め物やサラダにしてドレッシングをかけるなど、油と一緒に食べるとよいでしょう。
緑黄色野菜の摂取は、喫煙者において肺がんリスクの軽減につながるものと考えられていますが、どの栄養素が重要な役割を果たしているかについては一致した見解はありません。多くの研究では、血液中のβ-カロテン濃度が高い人の肺がん発症リスクは20〜85%ほど低いことが示されています。食品からの摂取では過剰症については心配ありませんが、サプリメントでβ-カロテンのみ多く摂取(20mg〜30mg/日)した実験では、効き目がないか逆に喫煙者では肺がんリスクを高くすることが報告されていますので、禁煙せずに1日20mg以上のβ-カロテンをサプリメントなどで補給することは控えましょう。
がん予防を考えるなら、β-カロテンは食事から色々な栄養素と一緒に摂るのが安心のようです。
◆ビタミンC
・働き・・・細胞の結合を強くし、皮膚や骨、血管を丈夫に保つ働きのあるコラーゲンを生成するのに不可欠な栄養素です。また、シミの原因であるメラニン色素の生成を防ぐ働きもあります。
・多く含む食品・・・動物性食品にはほとんど含まれず、野菜や果物に豊富に含まれます。また、じゃがいもやさつまいもにも豊富に含まれ、じゃがいもやさつまいもに含まれるビタミンCはデンプンに守られているため、加熱しても壊れにくいというメリットがあります。
・食べ方・・・ビタミンCは水溶性のビタミンなので水に溶けやすく、また熱にも弱いという性質があるのでビタミンCを多く含む食品はできるだけ生で食べるのが好ましいです。加熱調理するときは、煮物よりも炒め物や揚げ物の方が短時間で調理できるため損失を軽減させることができます。煮物にする場合は、煮汁ごと食べられるシチューや鍋物にするとよいでしょう。
◆カリウム
・働き・・・ナトリウムとともに体液を構成する主要成分です。ナトリウムの排泄を促し血圧を下げる作用があり、高血圧予防の栄養素としても有効です。
・多く含む食品・・・カリウムはいろいろな食品に含まれており、なかでも果物や野菜、いも、大豆、海藻などに多く含まれています。また、ドライフルーツやひじきなどの乾物は成分が凝縮されているため特に豊富に含まれています。
・食べ方・・・カリウムは水に溶けやすく、ゆでるなどの調理過程で損失されやすい栄養素です。生で食べられる野菜や果物はできるだけそのまま食べるのが好ましいです。また、根菜や豆類、いも類はゆでても損失が少ないので効率よく摂取することができます。
腎症がある方はカリウムが尿中へ排泄されにくく、血液内のカリウム濃度が高くなります。カリウムの摂取量が多過ぎると頻脈や心不全が起きやすくなるので、注意が必要です。

【野菜を上手に食べる工夫】

 野菜は一日に350g食べる(このうち120gは緑黄色野菜、230gは淡色野菜とする)と必須栄養素のバランスが整うといわれています。しかしミニ雑学で紹介したように、それぞれの栄養素の特徴をうまく利用できていなければ、たくさん食べたとしても栄養素は十分に吸収されていないかもしれません。栄養素を十分に吸収するためには、旬の野菜をうまく取り入れ、野菜に含まれている栄養素が効率よく摂取できるよう調理法や組み合わせなど“食べ方の一工夫”を心がけてみてはいかがでしょうか。

レシピ

ここに掲載したレシピは、ご家庭でも手軽にお試しいただけるように、分量を目安で表示しています。実際の食事指導では、患者様ごとに厳密に栄養計算した料理をお出ししています。

一食分の栄養量合計

  • エネルギー 591kcal
  • 蛋白質 25.9g
  • 脂質 8.4g
  • 炭水化物 101.4g

★にんじんごはん

エネルギー325kcal、蛋白質6.3g、脂質0.8g、炭水化物72.8g

■ 材料(分量・・・1人分)
精白米1/2カップ強、にんじん1/10本、しいたけ(乾燥)1枚、しいたけのもどし汁適量、かつおだし(粉末)小さじ1/2杯、うすくちしょうゆ小さじ1/2杯、しょうが少々、みつば少々
■ 作り方
  • ① 米は洗って水を切っておく。しいたけ(乾燥)は水に浸けてもどし、みじん切りにする。しいたけのもどし汁にかつおだし(粉末)を溶かしておく。
  • ② にんじんは皮をむき、すりおろす。炊飯器に入れた米に、しいたけのもどし汁を通常の水加減で入れ、うすくちしょうゆを加える。
  • ③ にんじんとしいたけも加え、よく混ぜて炊く。
  • ④ しょうがは針のように細く切って炊き上がったごはんに混ぜ、器に盛り付けたら刻んだみつばを上にのせる。

★鶏肉とごぼうの甘辛焼き

エネルギー133kcal、蛋白質12.0g、脂質3.4g、炭水化物11.3g

■ 材料 (分量・・・1人分)
とり肉もも(皮なし)ミンチ大さじ3杯、ごぼう1/5本、鶏卵1/3個弱、かたくり粉小さじ2杯弱、うすくちしょうゆ小さじ2/3杯、みりん小さじ2/3杯、ごま(黒)少々、ししとうがらし2本、すだち1/2個
■ 作り方
  • ① ごぼうは皮をむき、ささがきにして水に漬けておく。鍋に水と酢を適量入れて沸かし、ごぼうを茹でて水気を切っておく。
  • ② ボールに鶏卵を割りほぐし、かたくり粉、しょうゆ、みりんを加えてよく混ぜる。とり肉もも(皮なし)ミンチとごぼうを加えて混ぜ食べやすい大きさに丸める。
  • ③ 上にごま(黒)をふりかけ、天板に並べて170℃のオーブンで15分程度加熱する。
  • ④ ししとうがらしはフライパンで素焼きして添える。輪切りにしたすだちも添える。

★チンゲン菜のグラタン風クリーム煮

エネルギー52kcal、蛋白質3.7g、脂質1.5g、炭水化物6.7g

■ 材料(分量・・・1人分)
チンゲンサイ1/2株弱、ボンレスハム1枚、普通牛乳大さじ1杯強、ながいも1cm、白みそ小さじ1/2杯、しお小さじ1/20杯弱、コーンスターチ少々
■ 作り方
  • ① チンゲンサイは食べやすい大きさに刻み、ボンレスハムは短冊切りにする。ながいもは皮をむき、すりおろしておく。
  • ② チンゲンサイは軽く茹でておく。鍋に普通牛乳と白みそ、しおを入れて煮溶かし、水で溶いたコーンスターチを少しずつ加えてとろみをつける。
  • ③ クリーム煮の中へチンゲンサイ、ボンレスハムを入れ混ぜ合わせたらアルミケースに移し、すりおろしたながいもを上からかけて200℃のオーブンで5分程度焼く

★柿とブロッコリーのごまだれ和え

エネルギー24kcal、蛋白質1.1g、脂質1.1g、炭水化物3.0g

■ 材料(分量・・・1人分)
ブロッコリー1/14株、かき1/15個、ごま(白)小さじ4/5杯、うすくちしょうゆ小さじ1/3杯、からし粉少々
■ 作り方
  • ① ブロッコリーは食べやすい大きさに切って茹で水気を切っておく。
  • ② かきは皮をむいてサイコロ状に切る。ごま(白)はよくすりつぶして、うすくちしょうゆと水で溶いたからしを合わせてブロッコリーとかきと和える

★かんぴょうとれんこんの酢漬け

エネルギー18kcal、蛋白質0.5g、脂質0g、炭水化物4.2g

■ 材料(分量・・・1人分)
むきえび3尾弱、たまねぎ1/40個、ピーマン(パプリカ赤)3cm×2cm1個、ピーマン(パプリカ黄)3cm×2cm1個、酢小さじ1杯強、サラダ油小さじ1/4杯、さとう小さじ1/3杯、しお小さじ1/20杯弱、ローリエ少々、粗挽き黒こしょう少々
■ 作り方
  • ① 鍋に酢を入れて加熱し、沸いたら火を止め、さとう、しおを加える。ローリエと粗挽き黒こしょう、サラダ油も加えて冷ましておく。
  • ② 鍋にお湯を沸かし、食べやすい大きさに切ったむきえびを茹でる。
  • ③ たまねぎ、パプリカは薄切りにして水にさらす
  • ④ 水気を切った野菜とえびをマリネ液に漬け込む。

★抹茶シフォンケーキ

エネルギー39kcal、蛋白質2.3g、脂質1.6g、炭水化物3.4g

■ 材料(分量・・・1人分)
卵白1/3個分、低甘味料小さじ1/2杯、卵黄1/5個分、低甘味料小さじ1/2杯、普通牛乳小さじ2/3杯強、こむぎ粉小さじ1杯強、抹茶小さじ1/10杯
■ 作り方
  • ① オーブンは170℃に予熱しておく。こむぎ粉と抹茶は合わせて粉ふるいで2回ふるっておく。
  • ② 乾いたボールに卵白を入れ、低甘味料を2〜3回に分けて加えながらハンドミキサーで七分立てに泡立てメレンゲを作る。
  • ③ 別のボールに卵黄と低甘味料を入れ、白っぽくもったりするまでハンドミキサーでよく混ぜる。
  • ④ ③に普通牛乳を加えてよく混ぜ、混ざったらこむぎ粉と抹茶を加えてハンドミキサーの低速で混ぜる。
  • ⑤ ②のメレンゲをさらによく混ぜ、十分立てにする。
  • ⑥ ④に⑤のメレンゲを3回に分けて加え、手早く混ぜる。
  • ⑦ 生地を型に流し入れ、170℃のオーブンで10分焼き、その後140℃でさらに30分焼く。
  • ⑧ 焼き上がったらオーブンから出し、逆さにして冷ます。
  • ⑨ 冷めたら型から外し、16等分に切り分ける。